やつしろの働くひと Vol.61

やつしろぷれす やつしろの働くひと

楽しみながらチャレンジ! “負から”生み出す新事業

八代市古城町在住。立石春樹さん(68歳)。地元の中学校を卒業後、通信サービス業を営む家業に従事。電話機器の設備工事拡大に伴い38才で代表に。2014年環境事業部「薪タロー」を立ち上げ、薪の製造販売をスタート。手作りを楽しみに変え、環境にやさしい事業を展開中。

発想の転換が契機に 伐採木を薪にリサイクル

「自分が楽しむこと」を念頭に、冒険心に富み、常に楽しみながら新しいことにチャレンジするのがモットーという立石春樹さん。通信設備工事を請け負う中で、電線などにかかっていた木の伐採なども行っていたある日、梨園の木の伐採を依頼されたそう。大量の伐採木を前に、「このまま捨てるには費用がかかるし、何よりもったいない」という思いが頭をかすめました。

その時、暖炉を使っている知人を思い出し、すぐに連絡を入れると「薪にするから欲しい!」との返事が。「捨てれば産業廃棄物。しかもお金がかかる。しかしこれをほかの用途に再利用できれば、CO2(二酸化炭素)の削減や脱炭素など社会的課題の解決にも貢献することができる」。ここから立石さんの新たな事業がスタートしました。

しかし薪づくりに関しては、知識はまったくありません。「まずは切り出した木の種類を知らなければ、薪に適している木かどうかも分かりません」。ネットで調べるほか、薪ストーブを扱う業者に足を運び情報を得るなどして、試行錯誤しながら自分スタイルの薪づくりを確立していきました。

立石さんの作る薪は、煙や火の粉が出にくく、火持ちが良く、小さくて運びやすいなど、使う人の喜ぶ顔が見えるものがひとまとめに。薪割り台も安価にて販売されています

作業場にある薪の乾燥棚などはすべて立石さんの手作り。「乾燥に適した風向き、木材を詰める間隔なども経験の中から学びました」

アウトドアブームが奏功 葉材活用する新たな展開も

家庭用のストーブに使う薪から、キャンプ用の薪まで、様々な種類の薪を扱う立石さん。4月から6月は主に木の切り出しを行い、サイズ調整、乾燥などの作業を経て10月からの出荷に備えます。

ネットを中心に販売網を広げ、コロナ禍のアウトドアブームなども奏功し、材料集めも間に合わないほどに。新たに山林の所有者と契約を結び、材料を確保しています。また、お客さんから要望を聞きながら、多品種の薪に加え、着火剤となる松ぼっくりまで入ったキャンプセットなども販売。「利用者から、薪割りをしてみたいという声があり、大きめの木をセットに加えました」。

多くの声をヒントに薪事業を拡大していく立石さん。これまでは廃棄していた葉材を漢方として活用する話も舞い込んできているそう。1本の木を余すところなく使う、環境にやさしい事業が八代を拠点にどんどん広がっていきそうです。

鎖の持ち手が付いた運びやすい薪割り台も立石さんのアイデア

葉の裏が白い樫の木は、漢方としての需要があるそう

●お問い合わせ:薪タロー

☎0965-62-8858

八代市植柳下町2007-1

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