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【労働問題】

 報道によれば、従業員が制服に着替える時間分の賃金を支払っていなかったとして、飲食大手企業が労働基準監督署から是正勧告を受けていたことがわかりました。今回は、未払い賃金を請求する場合の注意点についてお話します。

 労働に対する対価として賃金が支払われることはいうまでもありませんが、賃金計算の基礎となるのは、労働基準法上の労働時間です。では、労働時間とは何を意味するのでしょうか。

 どのような行為をしている時間が労働時間にあたるかは、必ずしも明確であるとはいえません。例えば、移動時間、作業前の準備時間、ミーティング等への参加時間など、労働時間にあたるといえるか一概に明確であるとはいえない場合があります。

 裁判所によれば、「労働時間に該当するか否かは、労働者の行為が使用者の指揮命令下に置かれたものと評価することができるか否かにより客観的に定まる」としています。つまり、上記の例でいえば、ミーティングへの参加が義務付けられているような場合は、そのミーティングへの参加時間は、労働時間であるといえます。

 どのような時間が労働時間であるかがわかったとしても、未払い賃金を裁判で請求するためには、その時間に労働していたことを証明しなければなりません。

 タイムカードは、労働時間を証明するための最も基本的な証拠であるといえます。タイムカードが証拠として提出された場合、タイムカードどおりの労働が提供されていたと、一応立証されるといえます。

 しかし、タイムカードの記載が必ずしも正確ではないことがあります。例えば、実際には退勤していないのにタイムカードを切って残業をしていたような場合です。このような場合には、タイムカードが正確ではないことを立証しなければなりません。

 職場に自分専用のパソコンがあるような場合には、パソコンのログデータによって、労働時間が立証できるかもしれません。パソコンのログデータとは、パソコンが起動された時間とシャットダウンされた時間が記録されたものです。退勤直前にパソコンをシャットダウンすることが通常である場合には、このような記録が労働時間を算定するための資料になりえます。

 労働時間を把握し立証することは、必ずしも簡単であるとはいえません。未払い賃金を請求する場合、まずは弁護士に相談することをおすすめします。

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監修/月出・長嶺法律事務所 弁護士 立山 晴大先生

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