あの人に会いたい。File.03

「人のためになりなさい」 恩師の言葉を胸に地域貢献に尽力

 毎年、梅雨の季節の便りが届く頃、球磨川の堤防沿いにある通称「アジサイロード」では、100種類以上のアジサイの花が見事に咲き誇り、訪れる人々を癒やしています。この場所のお世話をしているのが、出田順子さん。夫の誠二さんも一緒に夫婦二人三脚で花の維持管理をして25年になります。驚くのは、これが完全ボランティアだということ。花の苗も自費で購入されています。

 出田さんの活動は、42才の頃、自宅近くにある「古町児童公園」の清掃活動からスタートしました。その後、得意の服飾の技術を活かした地域貢献も行ない、子ども達に華やかなお手製の服を作り、「ちびっ子カーニバル」を企画・運営するなど、地域を盛り上げる活動に長年貢献されているのです。

 ボランティアを始めたのは、小学校時代の恩師の言葉がきっかけだったそう。「幼少期、身体が弱く学校をお休みしないといけない期間が続きました。その時、担任の先生がとても熱心にサポートしてくださって。わたしに何の恩返しができるだろうと。すると先生が、『人のためになりなさい』と言葉をかけてくれました」。恩師の言葉は、ずっと胸に残っていたそうです。東京で服飾の技術を学び、フランスへの留学も経験。故郷へ帰郷後に、ボランティア活動がスタート。「自分のいのちを八代に捧げる」、そんな強い思いを胸に、今でも毎朝5時頃から清掃活動を続けている順子さんです。

一度決めたら最後までやり通す 芯の通った活動が地域を元気に

 自らの意思でスタートされたとはいえ、30年以上に渡り清掃活動などを継続するのは並大抵のことではありません。大切に育てたアジサイを抜き取られたこともあったそうですが、それでも活動をやめようと思わなかったのは、「一度やると決めたことは、最後までやり通すのがポリシーだから」とニッコリ。「生きていると、本当にいろんなことがありますよね。嬉しいことも、そうでないことも。でも自らの意思で生き方を選び、人生を創り出していける」。そう笑顔で話す表情はイキイキと晴れやかです。

 いまは苦境が多い時代かもしれません。悩みを抱えることもあるでしょう。それでも、地域のためにという純粋な思いを胸に秘め、何があろうとも日々ひたむきにボランティアに取り組んでいる出田さん夫婦。素晴らしい行動力が、地域に元気と明るさを届けています。

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●出田順子さん(75才)
千反町在住。八代東高校卒業後、東京の杉野学園にて服飾デザインを学ぶ。帰郷後、公園の清掃やアジサイロード作りなど地域貢献活動を精力的に行なっている。

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