音楽と共にある人生 日奈久の風景が、歌の原点
『八代少年少女合唱団』の名を知っていますか。昭和49年夏、韓国少年少女合唱団の八代公演を機に発足し、現在も幼児から高校生までの団員が、「歌」を通じてよりよい人間形成を行なう場として活動しています。その団体の代表を務めるのが、森恭子さん。日奈久に生まれ、小学校時代に恩師・小早川愛子先生から歌の才能を見出されて、声楽の世界へ。音楽の原点は、日奈久の風景だったそう。「故郷の海や漁船のエンジンの音、夕日の美しさ。朝になると天井には波の光が映し出され、そんな中で感性が育まれました。学校帰りには、いつも大きな声で歌を歌いながら帰宅していましたね」。
幼い頃より歌のコンクールに出場し、高校、大学、社会人と進むにつれ、音楽との結びつきは深まる一方に。そして冒頭の合唱団の代表になり、子ども達に「音楽が持つ力」を伝え、成長をサポートしながら、大人向けの合唱サークル『日奈久スプリングコール』の指導にも従事。「歌うだけでストレス発散になるし、呼吸によって体内も活性化されるので健康にもいい!」。そう話す森さんの表情は活気にあふれ、歌への愛が伝わってきました。
再起のきっかけは、「歌」 これからも地域に貢献したい
音楽人生をふり返り、忘れられない思い出は、「音楽仲間の誘いで出演したジョイントコンサート」。聞けば、熊大での教員時代に声帯を痛めて声が出なくなり、15年もの間、歌えなくなっていたそう。コンサートは、歌わないと声の状態がどんどん悪くなる、と心配した音楽仲間からの誘いでした。長期のブランクを経て、不安な気持ちで立ったステージで3曲を披露。それがきっかけとなり、歌への情熱を呼び覚ますことになりました。
「声と身体の結びつきは、切り離せない」と森さんは話します。大学時代に学んだという息の使い方や、身体を柔軟にする「こんにゃく体操」を今も大切に伝え続けています。森さんにとって音楽は、自身の内から響いてくるもの。「これからは、地域のことにも貢献していきたいと思っています」。イキイキと弾む森さんの声は、これからも地域の中でハーモニーを奏でていくことでしょう。
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●森恭子さん(74才) 本名:小早川恭子さん
日奈久在住。東京藝術大学音楽学部卒業後、熊本大学教育学部音楽科に34年間勤務。現在は八代少年少女合唱団代表など、地域の音楽活動などに携わる。
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