”イ草の伝道師”として、イ草の魅力を全国へ!
八代市鏡町在住、稲田近善さん(46才)。八代第一高等学校(現『秀岳館高等学校』)商業科を卒業後、父が社長を務める『イナダ有限会社』へ就職。”食べるイ草”の商品作りを通じて、栄養価の高い健康食材としての魅力を発信している。両親、妻、子ども4人の8人家族。
発想の転換が生んだイ草の新しい価値
全国でも有数のイ草の産地として知られる八代。その地で親子2代にわたり、イ草の栽培や加工、販売を手掛けている『イナダ有限会社』。創業当初は、畳を織る際に使う糸を販売していましたが、住宅の洋風化やイ草製品の輸入化などの影響により、国内生産量が減少傾向にあったため新たな使い道を模索。アイデアマンだった社長の発想で、イ草の消費率を高めようと、28年前から”食べるイ草”の加工食品製造をスタートさせました。これまでイ草は、主に畳表の原料と使われてきましたが、調べてみると食物繊維やカルシウムなどの栄養価が高いことが判明。これが商品化のアイデアに結びついたそうです。
さらに驚くべきは、自社農園でイ草の栽培にも乗り出したこと。食べて安心安全な無農薬にこだわり育てています。「農業に携わるようになり、自然のパワーを実感することが多いです」と稲田さん。自然相手の仕事は人間の思い通りにいかないことも多いそうですが、動物や虫の働きを知り、田んぼの中で育つ植物のエネルギーを感じながら汗を流し働くとき、農業の楽しさややりがいを実感するのだとか。「4~5月頃の田んぼの中に入ると気持ちがイイですよー」。
可能性を秘めた素材 未来へつなげたい
これまでにない食用イ草の斬新なアイデアには、地元の特色のあるお土産を作りたい、との願いが込められていました。そうして生み出された商品は、学校給食にも登場するという藺草麺をはじめ、お茶やふりかけ、飴、アイスクリームと、子どもから大人まで楽しめるバリエーションの豊富さも魅力。香りや風味、栄養価にぜひご注目ください。
”イ草の伝道師”として、八代特産のイ草の魅力をしっかりアピールしながら、営業活動にも力を入れている稲田さん。「イ草を素材としてどう活かすか。まだまだ可能性があると思っています」と話します。その取り組みとして、写真立てや人形飾りの敷物などに使える「ミニ畳作り」の体験(90分・2,500円)も受付中。
今後の夢は、八代をイ草の聖地として盛り上げること。「全国からイ草を目的に来てくれる人が増えたら嬉しいですよね!」と未来の夢を語ってくれました。
コメントを残す