村岡さんのインタビュー最終回です。現在、村岡さんは新型コロナウイルス感染拡大も落ち着きを見せる中で、新たな経済活動の展開へ向けて積極的に奔走されています。今回の新型コロナウイルスがもたらした世の中への影響は、まだまだ計り知れないものがあります。これから私達が生きていく上で指針ともなる考え方・生き方について語っていただきましたので、ぜひご一読ください。
― 新型コロナウイルス感染拡大が多少落ち着きを見せているものの、不安を抱えて過ごす日々が続いていますが。
今は、下りのジェットコースターに乗っている感じです。遊園地では、暗闇のトンネルに突っ込んでいくジェットコースターでも楽しめますよね。それは、安全で”底がある”と知っているからです。コロナ禍がいつまで続くのか、未来が見えないと恐怖で足がすくみます。でも必ず底はあるし、反転のタイミングは必ずあります。その時、新しい未来をひとり一人がどれだけ描けるか。イマジネーションの勝負というか、想像力が未来を作るのではないでしょうか。ひとつだけいえるのは「全てが今までと同じ世界には戻らない」ということです。元のように戻ると思っているから間違っています。これから、東京を中心に北海道から沖縄まで同じような政策ではなく、東京が全てをコントロールしていく時代が終わって、その地域ならではの新しい生き方の時代に入っていく。その中で、九州はひとつになれる力性というか強い関係性があるので、未来を悲観することはないと思います。
― 一貫して「九州」にこだわった事業を展開されています。今後コロナによってどのように変化するとお考えですか?
この3年くらい、どうやって九州に閉じたビジネス(※九州プロダクトの意)を構築するかということばかりやってきました。その方向性が正しかったということが証明されてきたわけです。
コロナは未来を変えたわけではなく、元来5年くらいかけて進んでいくはずだった時間軸が早まっている感じです。例えば、働き方についても、当たり前のように満員電車に乗ってビルの中に通っていた行為が今できなくなってしまったわけですよね。僕らは今は【九州アイランドワーク】という分散型のワークプレイス事業をやっていて、「はたらくをオフィスから解放する」という理念で準備を進めていました。ひとり一人が何処にいても個人のスキル・タスクを活かせる時代が来ると予見して、3年で九州の300カ所にワークプレイスを作る計画です。はたらく場を分散させて、九州全域で旅をしながら仕事ができる環境を作るという事業を進めているのですが、これからはそうした生き方が当たり前になっていきますよね。
― これから、私達が考えていかなくてはならないことは何でしょうか。
仕事、生き方、生活に関して原点に立ち戻らないといけないと思います。”想像力・イマジネーションを持つ”ということだと思います。どれだけ豊かな未来を想像できるか。思考を止めない、ということですよね。
先週まで、飲食店は全て店を閉めざるを得ませんでした。そういう中で、僕自身もどういう形でものれんを守ることができるのかということをずっと考えてきました。たった1時間しか店を開けられない追い詰められた状況の中でも、どんな形であろうともサービスを提供してお客さんから対価を頂くという手法を考え続けなくてはならないという状況でした。しかし、追い込まれて考え続けることで偶発的に未来を創るアイデアが生まれるんです。いったん思考停止すると、現状維持か退化しかないのです。どうしたらいいのかは誰にも分かりません。だからひとり一人が考え続けないといけないのです。〈終〉
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