2019年4月1日、「平成」の次の元号を「令和」とするとの発表があり、5月1日から正式に改元されます。普段あまり見ることはありませんが、今回は改めて改元の根拠となる法律を確認してみました。改元について定める法律は元号法というわずか二条しかな法律です。内容は次のようになっています。
第一条 元号は政令で定める。
第二条 元号は皇位の継承があった場合に限り改める。
今回は、生前退位によって皇位の継承があったため、政令により元号が改められました。かつては災害などを理由として改元が行われたこともあったようですが、現在の法律では、皇位継承以外の理由で改元は出来ないことになっています。
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ところで、改元が行われる前に交わされた次のような内容の契約は、改元によってその効力に影響を受けるでしょうか。
【契約1】契約期間を「平成30年4月から平成32年3月まで」とする賃貸借契約
【契約2】代金の支払い方法を「平成29年7月から平成34年6月まで毎月5万円ずつ」の分割払いとする売買契約
契約当事者が「元号が変われば契約は終わりだ」と考えていることはほとんどないため、【契約1】でいうと「平成32年2月」に対応するため「令和2年3月」まで契約は続くものと扱われます。また、「元号が変われば一括弁済することになる」などと考えていることもあまりないでしょうから、【契約2】場合も「平成34年6月」に対応する「令和4年6月」まで分割して支払うものと扱われることになります。
このように、既に締結されている契約書の中に「平成31年5月1日」以降の日付が出てきても、基本的には「平成」を「令和」に読み替えて対応することになると思われます。
また、改元された直後に作成した文書の作成日欄に「令和元年5月2日」と書くべきところを、うっかり「平成31年5月2日」と書いたときには、明らかな間違いと分かれば「令和」に読み替えることで問題ありません。
ただし、常に問題が生じないということではなく、契約の当事者の意思がはっきりと分からない場合には、契約の有効性に疑念が生じることもあります。大切な文書を作成するときには、日付や期限の表記にも十分に注意をする必要があります。
監修/八代綜合法律相談所 弁護士 高橋知寛 先生
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