やつしろの働く人 #18

やつしろぷれす やつしろの働くひと

次世代へつなぐ千年企業を目指して


株式会社 水の子
代表取締役 上村 一宏さん

八代郡氷川町在住、42歳。高校卒業後、農家の3代目として就農し、(有)水の子に入社。2013年(有)祥豊の代表取締役に、今年4月には(株)水の子の代表取締役に就任。レンコンを中心に有機農産物の生産から加工・流通・販売まで行っている。両親と妻、3人の子どもとの7人暮らし。

ギターをレンコンに持ち替え
父の跡を継ぎ有機農業の道へ

農家の3代目にして、有機農産物の流通を行う(株)水の子と、有機農産物の生産・加工・販売をしている(有)祥豊の代表取締役を務める上村一宏さん。同社発足のきっかけは、設立者で現・会長である上村さんの父親が約7年前、水俣病の子ども達と出会ったことにあります。「父は、水俣病に苦しむ子ども達の姿を目の当たりにして、農薬を多用する農業を続けていたら、いつか自分が加害者になるのでは…と思ったそうです」と上村さん。そこで一念発起して当時はまだ珍しかった有機農業に取り組み、八代海に面した干拓地での栽培に適したレンコンの無農薬栽培をスタート。上村さんは父親の跡を継ぐべく高校卒業後に就農。「実はミュージシャンを目指していて、農業をしながら2~3年はバンド活動もしていました」。音楽を諦め農業をするのはさぞ抵抗があったかと思いきや、「子どもの頃から農業に専心する父の背中を見て育ったので、まったく抵抗なくむしろ自然でした」

美しい環境を次の世代へ
夢は循環農業の実現

上村さんが栽培しているレンコンは、日本古来の在来種。全国でも作っているのは4軒だけという希少品種です。「なぜなら、作るのが大変だから」と上村さん。在来種は一般的なレンコンに比べて茎が長いため風にとても弱く、台風で全滅する恐れもあるほど。おまけに根が深く収穫作業も困難な上、収穫量も一般的なものの約半分だとか。「でも、在来種のレンコンの味は格別。食感がよく旨味たっぷりで、一度食べたらクセになるおいしさですよ」。しかも栄養価も高いことから、全国から注文が殺到し、出荷制限をかけなけなくてはいけないほど。
また、レンコンを使った加工品も製造しており、中でも健康効果がメディアでも注目されている「れんこん粉」は、最近では青果と同等の売上だとか。「2~3年後には新たな工場を建設し、より多くの有機農産物の加工品を作る予定です」。海外への販路拡大も計画中といいます。「美しい環境を次の世代に残すため、夢は循環農業の実現。地球に負荷をかけない農業により、地球とともに千年先も続く企業をつくりたいと思っています」と意気込みを話してくれました。

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