タイで活躍するプロサッカープレイヤー、樋口 大輝さん。
このコーナーでは、サッカーを通じて日本とタイの架け橋になり、両国のサッカー競技力の発展に貢献したいという彼の熱い想いを発信していく。
「“トレーニングの内容や意図を理解しなければ成長できない”という考え方を、ヴィタヤ監督から教えられた」
やつぶれ編集部(以下、Y)—ヴィタヤ監督は、なぜ日本のチームを教えることになったのですか?
樋口:ヴィタヤ監督は、サッカー選手として日本の松下電器(現在のG大阪)でプレー経験があり、現役引退後のコーチ業と合わせて10年ほど日本に住んだことがあったそうです。それもあって日本語もペラペラなわけです。
ヴィタヤ氏がガイナーレに来た当時は、別の日本人監督のアシスタントコーチとして鳥取に赴任してきたのですが、その日本人の監督さんが成績不振で解任され、そのままヴィタヤ氏が監督に昇格したという経緯です。
Y—ヴィタヤ監督の“サッカー観”とはどんなものだったのですか?
樋口:私にとってその当時新鮮だったのは、「ディフェンダーであっても相手がボールに対してプレッシャーをかけてきたら慌てずにかわしなさい!」と指導してくれたことでした。それまでヴィタヤ監督のような指示をくれる指導者はいませんでした。もちろん状況を判断して最善の選択をするというのは大前提ですが、相手をかわそうとする意志を攻撃側が見せると、守備側は身構えるわけです。そこに時間とスペースが生まれ、相手をかわす道筋が見えるようになってきました。コントロールできないものを悔いても仕方ありませんが、もう少し早くヴィタヤ氏と出会って指導を受けたかったなというのが正直なところです。
また、サイド攻撃も好きな監督でした。ペナルティーエリアの横のライン辺りに書く三つの丸(サイド攻撃を説明するときには必ずホワイトボードに書いていました。)を、今でも鮮明に覚えています。
Y—監督との印象深い出来事や思い出などがあれば教えてください。
樋口:「トレーニングの内容や意図がわからなかったら聞いてこい」といつも言っていたのはよく覚えていますね。与えられたものをこなすだけでは意味がない。何を獲得するためのトレーニングなのかを理解しなければ成長はないよ、ということだったと思います。それまでの私も、言われたトレーニングをこなすだけの受け身の姿勢だったと思います。上手くなるためには、トレーニングをどう理解してどうプレーしたらいいのかをヴィタヤ監督から学びました。
樋口 大輝
1984年4月8日、熊本県八代市出身。
日本ではJリーグ準加盟クラブの『ガイナーレ鳥取』をはじめ、数チームに所属。
現在タイのプロサッカーチーム『チャムチュリーユナイテッド』でプレーしている。
ボランティア団体『ピースボールアクションタイランド』代表。177㎝、74㎏。
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