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【家族信託】

 家族信託のメリットとしては、例えば以下のような問題に対し、家族信託を設定することで一括して対応することが可能となります。

①認知症によって財産の管理・処分が困難になる問題

②相続の際に不動産が共有化されてしまい、活用が困難になる問題

③遺言では2代先の相続について指定できない問題

④事業承継に関して議決権と配当請求権を分けることができない問題

 また、その他のメリットとして、遺言の代わりに使えるというメリットもあります。では、遺言と信託はどう違うのでしょうか? 遺言と信託の違いの1つとして、効力が発生するタイミングが異なるという点があります。

信託:信託契約締結のタイミング
遺言:遺言者が死亡したタイミング

 遺言では、もはやご自分(遺言者)は死亡していますので、財産承継の様子を確認することはできませんが、信託ではご自分(委託者)で確認することができます。

生前に財産承継の様子を確認できるので、不都合な場合は、「信託の終了」もしくは「契約変更」により財産承継の方針の調整をすることができます。

 また、遺言は効力発生後に相続人全員の協議によって、内容を変更することが可能であり、ご本人の最終的な意思が実現しないこともありますが、信託は契約に基づきますので、ご本人の最終的な意思の実現が強く担保されるのです。

 信託契約が有効な事例として、祖父の認知症に備える後見代用信託事例を見てみましょう。

事例▼

祖父が判断能力を失えば不動産を売ることができなくなり、預金を下ろすことも困難になる。祖父は資産を運用して利益を得たり、相続税の納税資金をつくるために不動産の一部を処分したいと考えているが、将来自分が重病や認知症になった場合にそれができなくなる不安を感じている。何か良い方法はないでしょうか?

家族信託による解決▼

祖父が元気なうちに息子などを受託者として契約を結んでおけば、もし祖父が判断力の低下がみられた場合でも、息子が祖父の生活費などを代わりに支出できますし、契約内容によっては納税資金のために不動産を処分するということも可能になります。後見制度の利用もできますが、あくまで本人の財産管理の為のものですので、リスクを取って資産運用や納税資金を確保することはできませんが、家族信託であればこのような希望にも対応することができます。

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 当事務所では、新しい制度である家族信託に積極的に取り組むと共に、遺言書や成年後見人制度の利用など、従来からある制度を交えた認知症対策・相続対策のご提案を行っておりますので、お気軽にご相談ください。

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監修/弁護士法人 Si-Law
弁護士・司法書士 西田幸広先生

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