やつしろの働くひと Vol.69

やつしろぷれす やつしろの働くひと

(株) 宗弘
近宗道弘さん

生産から販売まで一貫した経営で“九州一”を目指す!

八代市出身。近宗道弘さん(60歳)。八代東高校卒業後、市内の鮮魚店、熊本市内の城屋ダイエーの精肉部に勤務。27歳で八代に戻り、実兄と漁業に従事。2006年、いけす料理『宗弘』をオープン。

「漁業だけではやっていけない」先を見越した経営で飲食業を展開

 昭和後期、八代海域での漁の難しさを目の当たりにしていた近宗さんは高校卒業後、漁業で生計を立てていた家業ではなく、鮮魚店や熊本市内、鹿児島に支店を持つ大型スーパーで販売の仕事に携わっていました。

 母の大病をきっかけに27歳で八代に戻り、兄と共に八代の海で働くように。しかし、「これからは漁業だけでやっていくのは難しい」と先を見据え、精肉販売で日本一の売上を上げていた大型スーパーでの経験を生かし、鮮魚の生産から流通、販売までを一貫してできる経営形態を確立。「一貫経営だからこそできる、安く、しかも水揚げされたばかりの新鮮な魚を提供できる飲食店をやってみようと、兄に提案しました」。

 オープンした店で料理のいろはを習得し、2006年、自らが代表を務める『いけす料理 宗弘』のオープンにこぎ着けました。「一年目は無我夢中で、とにかく生き残ることだけを考えていました。店が軌道に乗ると“八代一”の店を目指し、次に“熊本一”を掲げて店づくりに力を注ぎました」。近宗さんの先を見越した経営と、八代海が育んだ新鮮な魚料理が評判となり、『ミシュランガイド熊本・大分2018特別版』に掲載される名店に成長しています。

 

近宗さんの船「馨丸」には、漁の安全を願う妻の名が。獲れたての新鮮な魚は、そのまま店へ
GW~7月中旬ごろまでは呼子イカの『やりいか祭り』が盛況です

郷土の風土に合った“味”を守る一生涯の仕事、社員が誇れる店に

 近宗さんの一日は漁から始まり、水揚げした魚を市場に出し、昼過ぎからは店舗に移動するという多忙な毎日です。しかも現在、熊本県内だけでも8カ所の市場の競りに参加できる仲買人としての権利を有し、鹿児島を入れると13カ所の市場との取引があるというから驚きです。「欲しい魚をいつでも手に入れるためには、様々なエリアの市場で仕入れができることが重要。領域で獲れる魚の時期も違いますから。お客様には、その時期に一番おいしい魚を提供したい」と語ります。今では、仲買人仲間とのネットワークを生かし、全国から新鮮なおいしい鮮魚が集まるまでに。

素材に加えて、調味料にもこだわる『宗弘』の料理。「魚料理に欠かせない醤油なども、地元で作られたものを使うことで、その土地に合った味を提供できる」と言います。「一生をかけてきた仕事ですから、社員皆が誇れる店へとさらに成長させていきたい」と近宗さん。“九州一”の店づくりを目指し、今日も船を走らせます。

店内に並ぶ大きないけすには、全国から仕入れた魚が。8月末からは『伊勢エビ祭り』を開催!
全国放送の旅番組でも取材されました(2010年2月)

●お問い合わせ:(株)宗弘 いけす料理 宗弘
TEL:0965-33-2730
住所:八代市本町3-2-26





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