あの人に会いたい。File.14

歌の世界に導かれ高2で上京 夢に向けアルバイトの下積みも

 「とにかく歌が好きで、小学4年生の時に出場した歌番組のコンテストで優勝し、賞品にもらったラジカセが嬉しくて。その時に、歌手になりたいと思ったのが最初かな」。遠い記憶を紐解き、懐かしそうに話す西城なつ美さん。ソウル、ポップス、歌謡曲と、幅広いジャンルの歌に精通し、八代市のテーマソングである『YATSUSHIRO・八代』の作詞・作曲も手掛けた、八代を誇る歌い手です。

 小学校の生徒会に立候補した際は、家族に長いマフラーを編んでもらい、大ファンだった西城秀樹さんの歌を熱唱したこともあるとか。中学2年で出場した地元放送局の歌番組で優勝し、副賞として東京までの往復航空券を手にした時に、歌手への憧れが現実へと動き出しました。

 といっても、まだ中学生。「高校までは地元に」という両親の願いもあり受験はしたものの、どうしても歌手になりたいという心の炎が消えることはありませんでした。「上京するための資金を自分で何とかするしかない」とアルバイトを始め、両親を説得して高2で上京。勉強と歌のレッスン、そしてレッスン費を稼ぐためアルバイトに明け暮れる毎日でした。

ところが上京2年後には、ミュージックスクールの学費が追い付かず退学に。それでも歌手の夢に向け、ライブハウスで歌う日々が6年間続きました。そこでの縁がつながり1988年に夢のレコードデビューを果たしたのです。

大切な人の死、故郷への想い心に届く癒しを歌に込めて

 上京して今年で42年。その間には、東日本大震災に熊本地震、4年前の水害に能登半島地震。外に目を向けると戦禍に見舞われた国もあり、心が痛むニュースが連日飛び込んできます。そのような中、なつ美さんが歌手生活を共に歩んできた大切な人の死、そして大先輩である八代亜紀さんの訃報に向き合う日が。「亡くして初めてその存在の大きさが分かります。それでも立ち上がり、歩んでいかなくてはなりません」と言葉を噛みしめます。

7月2日にリリースする『花筐』は、亡くなった方への想いを、小野彩さん(藤あや子さん)の詞、八代出身の音楽プロデューサー島野聡さんの曲で紡いだ楽曲です。「この歌は、どうしても八代からスタートしたくて。7月6日の鏡文化センターでのコンサートが、皆さんの癒しの時間になるよう、心を込めて歌います」。

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●西城なつ美さん(60歳)

鏡町生まれ。八代東高校に2年間在籍、1982年に上京。都立の高校に編入し、平尾昌晃ミュージックスクールで歌のレッスンを始める。2008年、個人事務所を開設。八代市テーマソングの作詞、作曲も担当。202472日新曲『花筐』を発売。

 

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