【債務整理（任意整理）】
「弁護士や法律事務所の職員と顔を合わせて借金の話しをするのは恥ずかしいので、できるだけWEBや郵便のやり取りだけで債務整理をしたい」などの理由で、債務整理を中心に業務を行う遠方の事務所に依頼をされる方がいます。遠方の事務所に依頼をすること自体が悪いということではないのですが、少し注意していただきたいことがあります。
債務整理の方法としては、破産、再生、任意整理などがあります。その他にも各種のガイドラインに基づいて行う債務整理の方法もあります。それぞれに特殊性があり、債務者にとってのメリット・デメリットが異なります。
このうち任意整理という方法は、債権者と交渉をして、残っている債務（原則として将来の利息はカットしてもらいます）を、数年間の分割払いとしてもらうものです。利息の支払いが必要なくなることで、毎月の弁済額を小さくできたり、利息の支払いに追われて元本が減らないということがなくなるというのが主なメリットです。
一方、任意整理は、その後数年間の分割払いが必要となる方法ですので、当然、整理後の支払いが可能であることが前提となります。債権者数や債務の額によっては、債務者の収入では分割払いをすることも難しい場合があります。そのようなときには、破産や再生などの手続を検討する必要があります。
しかし、最近は次のような相談が増えているように感じます。
「数か月前に東京の法律事務所（又は司法書士事務所）に任意整理の依頼をして、債権者への分割払いが始まりました。最初の１、２回は何とか払いましたが、毎月の支払額が大きくて今後払っていくことができません。依頼をした事務所に破産ができないのか相談したところ、『破産手続の依頼であれば○○万円払ってもらう』、『東京から熊本に出向く度に○万円払ってもらう』、『だから破産をするなら地元の弁護士に依頼をした方がいい』などと言われましたので相談に来ました」というものです。このように始めから無理のある任意整理は、債務整理として意味がないばかりか、無駄な弁護士（又は司法書士）費用をかけることになってしまいます。
初回の相談の際に、債務の内容、債務が増えた原因、資産状況や収入状況などが詳しく聴き取られなかった場合には、その後の分割払いの内容が実際に支払っていけるものにならない可能性があります。人と顔を合わせたくないからなどの理由で安易に遠方の事務所に依頼されるのではなく、しっかりと相談・打合せをして、自分の状況に合った債務整理の方法を提示してもらえる事務所を選ばれることをお勧めします。
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