あの人に会いたい。File.11

規格外の野菜や果物使い オール熊本でプレミアかけ酢商品化

「トマトなど、全国に誇る産物があるのに、突出した特産品がない」―。他県と比較してもインパクトに欠け、せっかくの誇るべき地域資源が埋もれてしまっている現状を、何とかしたいと一石を投じた日隈さん。税理士事務所で働く傍ら、企画会社『(株)いっすんぼうし』を立ち上げ、ユニークな手法で、八代のトマトを全国にPRする若手経営者です。

日隈さんが着目したのは、仮想空間に広がる都市“ネオ・クマモト”を舞台に全人類トマト化計画を目論む秘密結社が繰り広げるSF小説『赤き大罪と白い嘘』。トマトにまつわる物語で地域を盛り上げ、全国に八代のトマトをPRしています。さらには、やつしろ未来創造塾に参加したことで同じ志を持つトマト生産者と出会い、トマトの加工品づくりにも挑戦することになりました。

完成したのは鮮やかなロゼ色のポン酢。材料は、規格外のトマトで作った乾燥トマト、ビーツ、氷川産のレモン、吉野梨に県内企業の酢としょうゆ、天草の塩とすべて県産のものを使用しています。「瓶の形やラベルにもこだわったプレミア感のある『Rose-Pondreロゼポン』は、これまでのポン酢とは一味違う、こだわりの贈答品として注目を集めています。

高校や未来創造塾での講演活動 東京への販路開拓も視野に

 現在、好評だった『ロゼポン』に続き、百貨店用に商品名を変えた『ビーツとトマトのかけ酢』を商品化。購買層や販売先のニーズに合わせた商品づくりに試行錯誤しながらも、着実に認知度を上げています。おしゃれなパッケージと味はもちろん、ノンオイルドレッシングとしての用途が目に留まり、東京のモデル事務所にサンプリングなどを行なっているとか。「今年は東京を中心に、さらに販路を拡大していきたい」と意欲を見せます。

 また、八代清流高校ややつしろ未来創造塾などでの講演活動にも積極的に参加。「誰かがやるのを待つのではなく、自分で行動に起こした結果を見せていきたい」と語ります。「まずは自分が楽しむこと」をモットーとしている日隈さん。「今後は税理士事務所での実務と商品企画開発の経験を生かし、コンサルの仕事も手掛けていきたいです」と前を見据えています。

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●日隈 志郎さん(40歳)

八代市生まれ。福岡の大学を卒業後、宝飾時計店に勤務。23歳で帰郷。印刷会社を経て、税理士事務所に勤める傍ら、2021年3月に企画販売会社『㈱いっすんぼうし』を設立。市内で妻と子と暮らす。

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