やつしろの働くひと Vol.59

やつしろぷれす やつしろの働くひと

“地の利”を生かし、未来への可能性秘めた農業へ挑戦!

八代市二見在住。松永隆信さん(53才)。水俣工業高校、北九州の自動車整備専門学校を経て、県内の自動車ディーラーに就職。整備、工場長、営業を経て5年前に店長に。2022年3月に退職し、農業に従事。耕作放棄地の解消にも力を注ぐ。妻と2人暮らし。

52才で一念発起! 辛い仕事も“楽しく”がモットー

 今年3月まで店長として勤めた自動車ディーラーを52才で早期退職した松永隆信さん。これまでも会社勤めの傍ら、実父の大病をきっかけに家業の農業を手伝ってきましたが一念発起し本格的に農業への挑戦を始めました。「いつかは家業を継ぐことを考えていましたが、ちょうど今年父が亡くなった歳になり、自分も生まれ育った地元のために何か恩返しがしたい。今がその時だと思ったのです」。

 時を同じくして、長年勤めた会社を辞め、49才で農業を継いだ先輩・二見ライスセンターの園川清市社長の、「二見の農業ばどぎゃんかせんばん。一緒にすっばい!」という声かけが、松永さんの転身を後押ししました。

 しかし、すべてを自分一人でとなると難しく、「米作りは家族と一緒に親戚や近所の農家さんの力を借り、どうにか収穫を迎えられそう」と、色づき始める田に目を向けます。ただ、これまでも現状維持に留まらず、常に先を見据えてきた松永さん。「農業従事者の高齢化や後継者不足で、休耕田が増える二見の新たな産業になれば」と、アスパラの作付けにも挑戦中です。「せっかく海と山のある気温差に恵まれた農業に適した土地。この土地の良さを生かした魅力ある農業ができないかと考え、露地栽培、しかも無農薬でアスパラを栽培していますが、まだまだ試行錯誤の連続です」と笑います。しかし、「どんなに辛い作業も“楽しく”がモットー」という松永さん。未来への可能性を秘めた試練も楽しみに変えています。

花を咲かせるアスパラも、今年はまだ元株づくり。露地栽培のため、害虫や害獣対策も手間のいる作業です
二見の農業活性化には地元の先輩たちの力が不可欠。経験に基づいた知恵を借りつつ、二見を盛り上げていきます

『アグロード二見』立ち上げ 変わらぬ故郷を未来へ繋ぐ

 松永さんが農業を本格的に始めるにあたり着目したのが、新たな価値を見出せる農業。「平地より手間のかかる田舎の農業を、手間をかけずに収量を見込め、しかも質の高い安心、安全な作物づくりができるようにしたい。それが、若い後継者が農業を将来の仕事として選択したくなる未来へとつながるはず」と、月1回、有機農業塾へ参加する他、圃場見学にも積極的に足を運び、学びを重ねています。

 今年7月には、園川さんと『アグロード二見』を立ち上げ、ドローンの農薬散布や籾の乾燥、籾摺りなどの依頼にも力を注いでいます。「まわりの人から多くを学び、学んだことを地域に還元していきたい」と語る松永さん。変わらぬ故郷を未来へ繋いでゆく活動の5年後、10年後が楽しみです。

 

『アグロード二見』を一緒に立ち上げた園川清市さん(写真右)

●お問い合わせ:まっちゃんファーム
☎090-7532-0342
八代市二見赤松町533

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