やつしろの働くひとVol.46

やつしろぷれす やつしろの働くひと

JAあしきた唯一のナス農家。還暦を迎え新たな夢も

八代市二見洲口町在住、洲崎俊次さん(60才)。芦北農林高等学校(現・芦北高等学校)を卒業後、大分県にある農林水産省管轄の農業試験場にて1年間学んだ後、実家の農業に従事。妻・弘美さんと二人三脚で、ナスの他、甘夏、ゴーヤ、原木シイタケなどを栽培している。長男との3人暮らし。

先生と父親に説得され夢を断念、農業の道へ

高校時代に体操選手として国体に出るなど、活躍していた洲崎俊次さん。卒業後は、その才能を活かし体育教師の道と、自衛官の道の2つの選択肢で迷っていたそうです。進路決定が近くなったころ、洲崎さんは校長室に呼ばれます。そこで待っていたのは、担任の先生と父親。いきなり、「農業を継いでほしい」と懇願され、夢を泣く泣く断念し、進路変更することになったのです。

当初はヤル気も出なかったそうですが、気持ちに変化が起きたのは、結婚して2人の子どもの父親になったころ。我が子の将来のためにも、農業を頑張ろうと情熱に火が灯りました。

立派に育ったナスを手に孫の彩楽(さら)ちゃんと笑顔のツーショット。 ナスの収穫期は、パートさんも加わり、午前中に収穫、午後から出荷作業

害虫除けには赤いネットやブルーの粘着テープで対策

ナス農家さんとの出会いが転機に

両親の代までは、甘夏栽培が主だった洲崎家。八代海を一望できる山の斜面の畑は、父親が開墾し、当時植えられた樹齢60年の木が健在。

ナスを栽培することになったのは、父親の入院がきっかけでした。たまたま隣のベッドになった方が、ナス農家さんだったそうで、数ヶ月間の入院期間中に、ナス栽培の話を聞いた父親からの勧めで約30年前から栽培がスタートしました。「甘夏の出荷は、2月~4月まで。子どもたちを大学まで出してやりたいという思いがあったので、収穫期が10月~6月末と長い、ナスの栽培にとても魅力を感じましたね」。

栽培しているのは、「肥後のでこなす」(品種名「筑陽」)と呼ばれるナスで、ツヤのある光沢と、肉厚な果肉が特長。揚げナスにして食べるのがお気に入りだそうで、「皮も実もトロッとして美味しいですよ」と太鼓判。JAあしきた管内でナスを栽培しているのは、洲崎さんただ一人。「栽培のこだわりは、第一に土壌づくり。人間がやるだけのことをやったら、あとは植物が自ら育つ力を信じます」。ハウスの中では、収穫期真っただ中のナスが、元気に生育中です。

これからの夢についてお尋ねすると、「2015年の台風被害で壊れたままになっているハウスが4棟あります。それを建て替え直し、栽培面積を最盛期の広さまで復活させたいですね。妻は嫌がるかもですが(笑)」とニッコリ。還暦を迎え、洲崎さんの新たなチャレンジの扉が開かれようとしています。

父親が開墾したという甘夏畑。天気のいい日は、天草諸島がくっきり見渡せ、その抜群の眺望が自慢だそう

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