ようこそ私のお庭へ。
「自然に還れ」と言った哲学者もいるほど、
いつの時代も自然は人間の基本を思い出させてくれます。
そんな自然への憧れが、「庭」という箱の中で
無限に広がります。今回の巻頭特集は、自然と向き合い、
潤いのある暮らしを演出している、4軒のお宅の
ステキな庭をご紹介します。
1:森口様邸〈 八代市田中東町 〉
・敷地面積 495.87㎡( 約 150坪 )
・庭面積 231.40㎡( 約 70坪 )
もはや庭の概念を超えた まさに “ 市中の森 ”
道路から一歩入ると、ひんやりとした空気が心地よい。まるで山中に迷い込んだかのように思えるが、ここはれっきとした 個人宅の庭である。 標高千メートル以上の高地にしか生えないブナ、スギやヒノキ、シャラ、イヌシデ、モミジ、苔やヤマボウシなど約50種類もの木々や 草花が、森口さんの手で植えられている。土や石、砂利を運んで山の傾斜と道までも手作りしたというから驚きだ。また「自然との共生」を掲げる作庭家、中野 和文氏(城南町在住)の協力により作られた小川の水辺には、アブラメやアメンボが棲息している。これほど自然に忠実に作りあげた庭も、以前はゴルフのパター ができるほど整然と刈り込んだ芝生の庭だったという。「山の中で生まれ育ったので、自然そのま まの景観の庭を作りたいと思い今に至ります。いずれはホタルを飼いたいですね」と、庭の森を眺めながら森口さんは笑った。
2:牧様邸〈 八代市二見町 〉
・敷地面積 325.0㎡( 約 98.31坪 )
・庭面積 244.0㎡( 約 73.81坪 )
ターシャ・テューダーに憧れて。みんなが集うナチュラルな庭づくり
白い柵と緑の芝。まるで庭専門誌で見たことのあるような誰もが憧れる風景の庭園。春は113種類以上のバラがメイン。色はスモークピンク、シャーベットオレンジといった淡い色合いのものが好きという牧さんの庭は、ずばり “ ナチュラル ” 。主役のバラをあくまで自然な趣きに仕立てる要素としてラベンダー、オリーブ、オルレアなど数多くのハ ーブ系植物がバラと一緒に並ぶ。2000年に家を建てた当初の庭は愛犬のためのドッグランで あり、近所の子ども達の公園代 わりだった。ベランダやレンガの敷石などはすべてDIYの得意なご夫婦による手作り。 “ キッチンガーデン ” コーナーには料理に使える植物も豊富で「美味しい庭」 として活躍する。「歩きながら実をちぎって食べて遊べる庭を目指しています」と牧さん。四季折々で違う顔を見せる庭。梅雨の時期には紫陽花も楽しめる。
3:水本様邸
・敷地面積 991.73㎡( 約 300坪 )
・庭面積 661.15㎡( 約 200坪 )
曲線と小径を活かして四季の移ろいを楽しむ
現在の家を建てると同時に庭作りを始めた水本さんご夫婦。春夏秋冬、四季を通じて手入れに余念はない。「小径を作ること、高低差をつけることがコツです」とご主人。小高い山をアクセントにマンサク、ケヤキ、ハナミズ、モミジバフウなどの木々を。花はベロニカ、オルレア、芝桜などの可愛らしい小花たちが植えられている。「花が咲く木、実がなる木があり四季折々楽しめます」と奥様。「老後に備えて背の高い 木は、切って低くすることで手入れが簡単になります」長年の経験と工夫で、無理のない庭作りを楽しんでいる。
4:岩田様邸〈 八代市千丁町 〉
・敷地面積 991.73㎡( 約 300坪 )
・庭面積 661.15㎡( 約 200坪 )
作り込まず “ 自然の形 ” を楽しめる庭を目指して
花の手入れをしているお母さまの姿を見て育ったため、子どもの頃から花が大好きという岩田さん。本格的に庭作りを始めたのは30年前に家を建てた時から。ご主人や娘さん、妹さんと一緒に協力してきたという。バラ、ヒマラヤンムスク、紫陽花、サルスベリ、クロハナロウバイ、ヤエウツギ、オルレアなど多くの種類の花を植えている。中でも好きな花はバラで、庭には約60種類以上あるそうだ。木はケヤキやカエデなどの背の高い種類を植えて目線に入らないように剪定し、木洩れ日ができるようにしている。園路も、その先に何が植えてあるのか楽しみに思えるよう、わざとくれらせて作った。また同じ花好き仲間と花の交換をして種類を増やしているとか。「庭に完成形はありません。未完成でいいんです。毎年違った表情を見られるのも楽しみのひとつなんですよ」
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