やつしろの働くひと vol.10
自然が相手だから大変だけどおもしろい
トマト農家 本田 智久さん
八代市郡築在住、48歳。先祖代々農業を営み、郡築干拓地に入植してからは4代目。高校卒業後、農林水産省野菜茶業試験場久留米支場(現・九州沖縄農業研究センター)での農業研修を経て20歳で就農。23棟のハウスで「はちべえトマト」を生産している。趣味はバイクで、たまの休みに友人と共に県外までツーリングに行くことも。母親と妻、次女の4人暮らし。
20歳で就農と同時にトマト栽培へシフト
干拓地が広がる郡築地区で、八代が誇る「はちべえトマト」を生産する本田智久さん。先祖代々、農業を営む家の長男として生まれ、子どもの頃から将来は農家を就ぐのが宿命と感じていたと言います。「特に祖母が“跡取りだけん”と、ものすごくかわいがってくれたので、裏切れませんでした(笑)」。20歳で就農すると同時に、それまで栽培していたい草から、トマトへ転作することに。「最初は分からないことばかりで苦労の連続でした」。トマトの収穫は10月から翌年6月までと長期間で、以前は手作業で箱詰めしていたそう。「ピークには夜中の2〜3時頃までかかることもしょっちゅうでした。さらに、今は蜂によって行う交配も、当時はひとつひとつ手で受粉しており、気の遠くなるような作業でした」と振り返ります。
普段はやさしいけれど農業に関してはもっこす
現在、本田さんは23棟ものハウスを管理しています。トマトは病気になりやすい作物なので、日々の管理には細心の注意が必要。さらに本田さんは土壌分析も自身で行うほど、土作りに徹底的にこだわっています。「天気や気候は年ごとに違って栽培条件が変わるので、毎年1からの勝負。自然が相手なので大変ですが、だからおもしろい」という本田さん。天気予報を携帯で見ていて、用水路に落ちたことが何度もあり、一度は左腕にヒビが入る大怪我をしたこともあるそう。それでも「苦労すればこそ、自分の思うようにトマトが育ったときは嬉しいんですよね」とひょうひょうとしています。奥さんのあゆ子さん曰く本田さんは、「普段はやさしいけれど、農業に関してはもっこす。黙々と突き進みます」。そんな本田さんが作る「はちべえトマト」は、甘みはもちろん旨みたっぷりと評判です。「“本田さんちのトマトはおいしい”と言われると、苦労も吹き飛びます」と日焼けした笑顔で話してくれました。
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